二胡の材質について(後編)

★二胡の木材について

こんにちは!日本二胡学院・岡山教室で講師を務める西岡です。前回に続き今回も二胡の木材の材質について話したいと思います。後編である今回は、血檀、スネークウッド、インド紫檀、黄花梨の4つの材木について紹介したいと思います。

目次

1. 血檀
2. スネークウッド
3. インド紫檀
4. 黄花梨

5.血檀について

大葉紫檀と呼ばれることもあるアフリカの木材は数種類ありますが、基本血のような赤い色をしている物で、マメ科ではないものも多いです。柔らかい音色と深みがある感じで個人的にアフリカ紫檀と老紅木の間のようなイメージの音色だと思っています。木目が揃っていて深い深紅の血壇をみかけることあったら運がいいかもしれません。自分は中胡を所有してますが柔らかい音色には本当にうっとりさせられます。

6.スネークウッドについて

ギアナ高地周辺のみで生育しており、産出量も少ない為、希少な木材だそうです。世界で最も密度の高い木材の一つとされているようです。ステッキでも100万くらいする場合があるといいます。何故か二胡ではもう少し安い価格で見ることがありますが、蛇みたいな文様が特徴で蛇紋木とも呼ばれています。良い音が鳴るまで少し時間かかりるという話も聞きます。が、自分も所有してるのですがかなり重くてブレにくく音は意外にも優しく繊細な音を奏で、音量もあり深い音色です。音はインド紫檀よりも、老紅木に近いかなという印象ですが、音の重さが凄く良くてどっしりしています。

加工が難しく最近までは二胡の材料としては「不向き」なイメージがありましたが、加工法も発展してきているためか、近年では少しずつ作られてきているように感じます。ただし、元々木材自体が珍しく貴重なものなので、今後もそこまで数が作られることもないと思います。独特の文様と普通ではない重さ、希少性、様々な面でレアな一品だと思います。みかけることがあればぜひ触らせてもらい確認してみるのも面白いと思います。

7.インド紫檀

現代二胡では最高級木材のうちの1つだと思います。三味線では紅木とよばれることもあり、そちらにおいても最高級品として売り出されているのを目にします。
(以前、三味線の専門店で私の所有してる二胡をみてもらい木材が三味線でいうところの紅木と同等のものを指すということを確認しました。)
またインド小葉紫檀とも呼ばれることもあり、美しい深紅な木材で、時が経っているものでは黒に近いくらい濃い色になっています。見る角度によって黒くみえたり赤くみえたり表情が変わります。非常に鋭く深い音がして音の響きが非常に良いです。

音が大きく鳴るというよりも、繊細な音づくりに適した印象です。音量はそこまでではないですが「密度が濃い」イメージで存在感は際立ちます。木の密度とその重量でとても扱いやすい印象です。プロの中にもインド紫檀好む人は多く、こればかり使っているという人もいます。私の場合、木目が細かく、重く、黒に近い材で、おまけに金糸があればすかさず選びたいなと思います(コレクション魂)。

黒檀や老紅木と音を比べると、音の種類が違うので値段ではなくて好みで決めると良いと思います。しかし一番重要なのは値段や材の質よりも、音楽は人間の五感がとても大切なものですから、人間が聞いて心地よいというものこそが、マストバイな二胡といえると思います。

補足ですがインド紫檀は材料が伐採禁止、輸出禁止になるなどの背景がこれまでにありましたので高騰をしつづけたために希少性の関係で値段が高いです。

8.黄花梨

こちらの木材は古楽器に多く、現在では「そこまでして作るのはどうかな?」と思ってしまうくらい高価です。かなりの希少木ということで説明は省きますが、インド紫檀より価格は高いです。ご縁があり、私も黄花梨の古楽器を持っているので、個人の感想を述べさせていただきますと、黄花梨は明るく明瞭で深い音がします。
友人でもある二胡の弦堂さんによると『ブラジリアンローズウッドに音が近い感じもしますので、特にこだわりがなければそちらでも十分良いと思います』とのことでした。色等の問題でどうしても好きな人で予算もある方であれば、オーダーメイドするのもよいかもですね。他にもたくさんの木材があるので知れば知るほど楽しいです!竹やカエデ、緑壇等々。

まとめ

とりあえず私の持っている二胡をもとに、個人の見解ではありますが各材木についてご紹介させていただきました!これをきっかけにひとつの二胡が出来上がるまでの工程などにも興味を持っていただければ幸いです。

色々紹介させていただきましたが、大切なのは何よりも人間の五感と、五感で受け取る音の心地良さだと思っています。色々な二胡が世に出回っていますが、自分にとっての1本を決める際は、ぜひお店に行って相談しながら決めること。可能であれば試し弾きをさせてもらうこと。自分で弾くのが難しい場合は、店員さんに代わりに試奏してもらうことが重要だと思います。二胡ねっとでは相談・試奏・試聴が可能だそうですので、ぜひ訪れてみるといいかもしれません。

また、今回の内容は友人の二胡の弦堂さん等との対話の中で知り得た情報も多いです。弦堂さんには感謝です。

また何か各木材について知っていることがありましたら、コメント欄を活用して教えてください!