二胡の材質について(前編)

こんにちは!日本二胡学院・岡山教室で講師を務める西岡です。今回は私が実際に集めた様々な材質の二胡を、写真とともにご紹介したいと思います。二胡に使用される木材について、皆さまに興味を持っていただき、二胡をさらに楽しむ要素のひとつとして良いきっかけになればと考えています。また自分に合う楽器を探すための、ひとつの参考記事となれば幸いです。色んな二胡に触れ、新しい物を探すのも楽しいですよ!(コレクション魂も揺さぶられます)
※二胡奏者である以上、二胡の木材についてはある程度の知識はありますが、木の専門家ではないため、参考程度に肩の力を抜いてご覧ください。そして誤解のないように、これは二胡の木材に対して優劣をつけるものではないことも更に付け加えさせていただきます。もし気になることがありましたら、ぜひご自身でも調べていただければ幸いです。

さて、前置きが長くなりましたが、早速紹介していきたいと思います。二胡の木材の材質は、種類が沢山あります。前編である今回は、紅木、黒檀、アフリカ紫檀、老紅木の4つの材木について紹介したいと思います。

目次

1. 紅木
2. 黒檀
3. アフリカ紫檀
4. 老紅木

1.紅木について

紅木の種類は様々です。目が細かいもので音が明るくハッキリ鳴る良材は紅木においてとても貴重です。稀に色を塗られて黒の黒檀に似せていたり、紫檀に似せている場合もあるかもしれません。その場合は、音窓から中を除くと中まで塗られていないことが多いため、紅木かそうでないかを判断できることもあります。

また使用されている蛇皮や値段で判断できる場合もあります。一番間違いないのは、お店側へそういった不安も含めて相談して購入することです。インターネットだけでは判断しづらい場合もありますので、実際に店舗へ足を運び、試奏や試聴させてもらえる場合は遠慮せずに試して判断してみると良いと思います。以上、自分もいくつか所有している中での感想です。

2.黒檀について

黒檀も種類がかなり多いです。最近ではあまり見かけない気がしますがアフリカブラックウッド、アマラ黒檀、鳥木なども黒檀の一種です。また青黒檀、インド黒檀などは個人的に高級なイメージがあります。中には黒柿でできている珍しい品もありますが、上質のものではインド紫檀を凌ぐほど素晴らしい音を響かせてくれるそうです。黒檀に共通するのは音は透明感を兼ね備え、まろやかさを持ちながら太くハッキリ出ます。音の響きも非常に良いです。ただしこちらも材によって音の傾向が変わります。以上が自分も過去8本以上所有してきた黒檀の中での感想です。

プロの演奏家も愛用者が多いですがどの種類の黒檀かといわれれば、見分けるのはとても難しく、本人に質問できない限りはどの材を使用しているのかまでは自分では判断がつきません。やはりこちらも、購入前はお店で店員さんに相談したり、自分で試奏、試聴を行うことが重要です。自分の五感をフル活用して選ぶことで、納得感を得て1本を選ぶことができると思います。選ぶときは好みの音であるということや、木材自体に強いこだわりを持つ方であれば、重さが比較的重め(元々木の密度が高い)で、木目が詰まっているものを選ぶと良いかもしれません。また、*1金糸があるもの(古材でないと殆ど無いです)を選ぶのも良いでしょう。
*1金糸:金星材とよばれたりする木材に金の色や赤色の細かい筋が無数に入っている木目がものすごく細かい良材のこと。

3.アフリカ紫檀について

個人の感想ですが、音はインド紫檀ほどは鋭くなく、老紅木ほどは柔らかくはない。ちょうどその中間の音の柔らかさに感じます。中途半端に聞こえてしまうかもしれませんが、私個人としてはちょうど良い塩梅、適度なやらかい音色、適度な音量、程よい鋭さに感じており気に入っています。また重さもあり扱いやすいです。例えば老紅木を使っている方で、音が柔らかすぎると感じる人にとっては痒い所に手が届くという位置づけになるかもしれません。

良材が用いられているものでは、かなり木目が詰まっていて、インド紫檀に迫るような音の鋭さをみせる物もあります。赤に近いものから深い紫のものまで色々あります。深い紫の目が細かい良材をみつけたらぜひ押さえておきたい一品だと個人的に感じております。現在ではインド紫檀の入手は難しく、ブラジリアンローズや血壇は高く、良材を見つけることも困難ということで、紫檀といえばこのアフリカ紫檀をさす場合が多いです。

4.老紅木について

酸枝系の木が多いです。色は茶色またはこげ茶色なイメージがあります。旧料老紅木と呼ばれるものは100年くらいたってる建物からとった古材を指し、さらに高級なものではもっと長い年月が経っている古材を使っているものがあります。また、明清老紅木と呼ばれるものはプロもよく使っているというイメージがあります。これらは比較的に優しく柔らかく、甘い音がでて、音に密度があり、蘇州や上海では愛用者が多い印象です。自分は蘇州製と上海製を所有していて明清老紅木から旧料老紅木等3本くらい持っています。今まで15本くらいを所有してきた中での感想です。

音窓からは、材木特有の酸っぱい匂いが漂うのが特徴です。

もしかすると、多くの日本人のイメージする所謂「癒しの二胡の音」に近いものかもしれません。またチンチャンと呼ばれる紫檀系のものもあり色は赤茶色系でこれも老紅木と呼ばれています。(自分の所有してる老紅木の一本を専門家に鑑定してもらった結果、チンチャンでした)
こちらは木材として高級な印象ですが、他の老紅木とはまた違う性質を持つ木なので、かなり明るい明瞭な音がします。ブラジリアンローズウッドも時折見かけますがこちらも高級です。私も以前所有してました。
かつて黄花梨といわれた超高級材料があるのですが、それに近い音で鋭く通る音が特徴です。また、その中には柔らかさも含んだ音を奏でるものもあり、やはりこちらも同じ木の種類だからと一括りにできるものではありません。実際に弾いてみるまでは正直分からないというのが本音です。

酸枝系のものと、そうでないものでかなり音の違いがあるので、そこは個人的に面白いと感じます。個人的な意見ですが私の場合は酸枝系の物を選ぶときは、比較的に色が濃くて、黒っぽい色で、そこそこ重みがあり、木の目が詰まっているものを探します。チンチャンやブラジリアンの場合は目が詰まっていることと、*1金糸があるものを探します。まさにコレクション魂が動きますね!

いかがでしたでしょうか?
次回は後編
血壇、スネークウッド、インド紫檀、黄花梨についてご紹介します!